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多和田葉子さんは芥川賞はじめ多数受賞のベテラン作家
多和田葉子さんの学歴と出身校についてご案内します。
多和田さんは、ドイツ在住の小説家で日本語とドイツ語で小説を書いています。
東京都の出身で国立市の公立小・中学校を経て都立立川高校に進学。
さらに早稲田の文学部に進みました。(ロシア文学科を卒業)
都立立川高校 ⇒ 早稲田大学 ⇒ ハンブルグ大学修士課程 ⇒ チューリッヒ大学博士課程
大学卒業後はすぐにハンブルクに移り、ハンブルク大学の大学院で修士課程、さらに創作活動の傍らチューリッヒ大学の博士課程を終了し、ドイツ文学の博士号を取得しています。
著作では、1987年の詩集出版から始まり、多数の小説を生み出してきました。
ドイツでも多数の著作が出版され、公式サイトによると2024年現在ドイツ語の出版作は27冊、日本語での出版作は32冊などとなっていました。
また、著作が10ヶ所以上の言語で翻訳されていることも知られています。
村上春樹さんがノーベル文学賞候補に挙がることは周知の通りですが、多和田葉子さんも有力なノーベル文学賞候補者の一人となっています。
多和田葉子(たわだ ようこ)
生まれ:1960年3月23日
出身:東京都
1966年:(推定)小学校入学、6歳
1972年:(推定)中学校入学、12歳
1975年:(推定)立川高校入学、15歳
1978年:(推定)早稲田大学入学、18歳
1982年:早稲田大学卒業、ハンブルクに移住、22歳
1987年:詩集『あなたのいるところだけ何もない』、27歳
1991年:群像新人文学賞『かかとを失くして』
1993年:芥川賞『犬婿入り』
1996年:ドイツのシャミッソー文学賞、36歳
2001年:ドイツの永住権取得
2002年:『容疑者の夜行列車』→伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞
2006年:ベルリンに移住、46歳
2012年:『雲をつかむ話』 → 読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞
2014年:『献灯使』 →全米図書賞翻訳部門
2018年:『地球にちりばめられて』、58歳
2020年 :紫綬褒章、60歳
2024年 :日本芸術院賞・恩賜賞、64歳
(著作や受賞は一部の抜粋になります)
その他、著作・講演など多数
*略歴は当サイト独自のまとめであり、公式発表ではありません。略歴中の年齢は、およそ誕生日を迎えた時点での「◯歳」を示しています。
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多和田葉子さんの出身高校は都立の立川高等学校
多和田葉子さんは都立高校の立川高校を卒業したことが分っています。
東京都立立川高等学校
所在地:東京都立川市錦町二丁目13番5号
創立:1901年
同校の創立は古く、当時は「東京府第二中」でした。
1960年代には東大に20人、30人という合格者を出し、さらに学校群制度によって近隣ので国立高校と組んで、双方とも東大に20人、30人という合格者を出してきた歴史があります。
歴史が長いだけに出身者も多く、出身者には東京都知事だった鈴木俊一氏(東大へ)や、作家の三浦朱門(東大へ)さん、漫画家の東海林さだおさん(早稲田第一文学部)などがいます。
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(多和田葉子さんとジャズピアニストの高瀬アキさんによるパフォーマンス&ワークショップ、2019年当時)
【立川高校の大学合格実績】は「みんなの高校情報」から抜粋すると、2023年の例で以下となっています。
国立大学
東大 3名
京都大学 5名
東京農工大学 20名
東京都立大学 28名
北海道大学 11名
一橋大学 9名 など多数
私立大学
明治大学 110名
法政大学 81名
中央大学 76名
早稲田大学 61名
立教大学 60名
東京理科大学 50名 など多数
多和田さんの時代は、多少、中身が異なったかもしれませんが、早稲田大学への進学は、ごく普通の進学先と言えそうです。
いずれにしても、昔も今も、高い進学実績を上げている公立高校です。
立川高校と下記の国立第一中学との間には、進学校で知られる桐朋高校(西島秀俊さんの出身校)もあり、さらに一橋大学もあるという地域になります。
多和田葉子さんの出身地東京都と出身小学校、出身中学校
出身は東京都で、父親が神田で「エルベ洋書店」を経営していたそうです。
少なくとも2024年現在「エルベ洋書店」は地図等で確認できませんが、多和田さんが書店経営者の娘として、本に囲まれた環境で育ったことは想像できます。
なお、出身の小・中学校については・・
2010年の11月に「東京大学大学院表象文化」と「現代文芸論研究室」の主催で、「言葉と音のパフォーマンス」の開催時のプロフィールに、出身校は国立第五小学校、国立第一中学校と記されています。
これは当時、東大駒場キャンパスのコミュニケーション・プラザ北館で開催されたもので、多和田葉子さんとジャズピアニスト高瀬アキさんによるパフォーマンスでした。
(お二人の共演はその後も続いています)
開催趣旨に「言葉の間や音との空間、声、テンポなど言葉の繰り返し、スピードによって言葉と音楽が互いに触発され変化してゆく面白さ」というテキストがあり、もう10年以上も前のイベントなのに、興味を持ってしまいました。
横道に逸れましたが、よって多和田さんの出身校は以下となります。
出身小学校:国立第五(くにたちだいご)小学校
所在地:東京都国立市富士見台2丁目47−2
出身中学校:国立第一(くにたちだいいち)中学校
所在地:東京都国立市東4丁目24−1
第一中学校は上記の国立第五小学校とは1キロ程度の関係です。
国立第一中学校は道路を挟んで都立の国立高校と隣り合うような関係で、多和田さんの出身高校である立川高校もまた、そう遠くはありません。
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子どもの頃の多和田さんはどんな様子だったのでしょう。
多和田葉子さんの出身大学は早稲田大学
葉子さんは、立川高校から早稲田の第一文学部に入りました。1978年当時の早稲田はまだ「第一」がつく時代でした。
また、後にドイツの永住権も得る多和田さんですが、早稲田での専攻はロシア文学でした。
早稲田大学
所在地:東京都新宿区戸塚町1丁目104
改めて文学部の歴史は、1949年に新制の早稲田大学になった時に、旧制での文学部が、新制での昼間の第一文学部と夜間の第二文学部になり・・
さらに2007年に文化構想学部とともに新しい文学部が設置されました。
「第一文学部」時代の出身者はたいへん多いわけで、文学関係だけでも五木寛之さん、小川洋子さん、東海林さだおさん、高橋三千綱さん、野坂昭如さん、久間十義さん、藤田宜永さん、堀江敏幸さん、三浦しをんさん 、俵万智さん、村上春樹さん、角田光代さんなど多数に上ります。
サッと見ても、芥川賞や直木賞などの文字が次々と出てきて、さすが早稲田の一文と思いました。
芸能人を多数輩出していることも知られています。
ちなみに、早稲田の政経学部出身の山村紅葉さんは、同じ1960年生まれです。学年は、多和田さんのほうが一つ上ながら、あらためて多彩な人材を輩出していることが分かります。
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(2024年の『多和田葉子の旅する声の記録』から)
多和田葉子さんの大学院の修士課程はハンブルク大学
早稲田大学を卒業した1982年のうちに、多和田葉子さんはドイツのハンブルクで書籍取次会社に入社しました。
さらにハンブルク大学において大学院の修士課程を修了。
ハンブルク大学
所在地:Mittelweg 177, 20148 Hamburg, ドイツ
大学の場所という前に、ハンブルクは、ドイツの中でもかなり北に位置し、ざっくり言うと。オランダよりはるか北の国ということ。
偶然かもしれませんが、父親が営んでいた書店が「エルベ洋書店」で、ハンブルクはエルベ川(別名ラベ川)の支流であるアルスター川の河口にある港湾都市、ということで何らかの縁があったかもしれません(ほぼ妄想)。
いずれにしても、大学卒業と同時に書籍取次の仕事を海外でこなすとは、優れた能力のゆえでしょう。
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ハンブルク大学は大学の設置は1919年ですが、創立は1613年。日本で言えば江戸時代の始まりの頃だったという長い歴史を持ちます。
大学卒業後の1982年、ハンブルクにあるドイツ語書籍輸出取次会社に研修社員として就職、以降一貫して生活の拠点をハンブルクに置く。
(https://kotobank.jp/word/多和田葉子-563497 より)
また、多和田さんの処女作は、1987年の『Nur da wo du bist da ist nichts/あなたのいるところだけなにもない』になり、ドイツに渡ってまだ5年後のことでした。
同作は日本語とドイツ語を並置したパラレルテクストとして、短編小説と詩から構成されました。
「外国語を学ぶということは、文化の感性を学ぶということでもあるんですけども、言葉というものが持っている感性と、自分自身の肉体というか感性とのあいだにズレがあるということを自覚することでもあるんですね」 (同上)
外国語や外国文学との遭遇が作家的出発の源となったということーー。
ハンブルク大学での修士課程は、単純に推測すると2年くらいでしょうか。詳細は不明ながら、多和田さんは順調に修士課程を修めました。
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多和田葉子さんの大学院の博士課程はチューリッヒ大学
さらに多和田さんが博士課程を修めたのは、スイスのチューリッヒにあるチューリッヒ大学でした。
チューリッヒ大学
所在地:Rämistrasse 71, 8006 Zürich, スイス
チューリッヒ大学は、創立が1525年、大学の設置が1833年というさらに古い歴史を持ちます。ノーベル賞受賞者も12名に上ります。
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チューリッヒ大学と隣接するように、世界有数の工科大学、チューリッヒ工科大学(通称ETH)も建ちます。
細かい時系列や、博士課程においてどこに住んでいたか等の詳細は分かりません。しかし多和田さんはいずれドイツに移ってからの時期に、スイスにて博士課程を修了しました。
スイスのチューリッヒは、シンガポールなどと同様、世界一物価が高いとも言われます。しかし暮らす人にとっては当然ながら賃金も高くなります。
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(川上未映子さん、川上弘美さんと・・)
ちなみに、2007年に開催された「お茶の水女子大学ジェンダー研究センター」と「プロジェクトD 」の共催の【秋の午後の読書会「多和田葉子とエクソフォニーをめぐる旅」】においては、
多和田さんの経歴は、博士号(ドイツ文学)取得し・・・
現在はドイツに在住し、日本語とドイツ語で小説や詩を書き、朗読や講演のために世界中を訪れている。
と紹介されていました。
この会で多和田さんは「日本語の原文とドイツ語の翻訳をばらばらに切って張り合わせたコラージュを朗読した」とのこと。
ちなみにに「エクソフォニー」とは「母語の外に出た状態」とのこと。
難しいけれど興味があります。随分以前の催しですが、聞けるものなら聞いてみたいセミナーでした。
***
さてその後も、2022年にはロンドン大学東洋アフリカ研究学院にて名誉博士号を送られており、活躍の勢いは止まりません。
ノーベル文学賞がすべてではないのですが、日本人で受賞される方がいたら嬉しいことーー。その実力に説得力のある多和田葉子さんに期待したいところです。
10/22・23開催 3周年記念メインイベント(会場:小野講堂)のお申込みは【10/3(木)】まで!
多和田葉子さん・高瀬アキさんによる「パフォーマンス」「トークライブ」を開催するほか、
当館の朗読&対談シリーズ「Authors Alive!」では、安堂ホセさん・柳美里さんをお迎えします。https://t.co/LbpiKqngT0 pic.twitter.com/JktpmLZt0n— 早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー) (@waseda_WIHL) October 1, 2024
なお、2024年の10月も早稲田の国際文学館で、「呼吸するように、物語を聞かせ合おう」ということで、「多和田葉子・高瀬アキ パフォーマンス&トークライブ」が開かれます。
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以上、簡単ですが多和田葉子さんの出身校についてでした。